読み聞かせ

「春を告げるヤマトシジミ」得田之久
 ぼくたち虫はいろいろなものを食べて生きている。地球上のあらゆるものといってもいいかもしれない。小さな体のぼくたちは食べる量がとても少ない。10枚くらいの小さな葉っぱやほんの少量のミツがあれば一生を過ごしていける。
 地球上にすむ生物の種類の7〜8割が虫といわれているが、その理由はぼくたちがほんの少しの食べ物で生きていけるからだと思う。
 カブトムシやクワガタは幼虫の時は腐葉土や腐った木を食べているけれど、成虫になると樹液を飲んでいる。チョウも幼虫の時は葉を食べているけど、成虫になると花のミツや樹液を飲んでいる。
 ヤマトシジミは、子ども時代の食べ物はカタバミの葉。成虫になるとカタバミの花や、そのほかの小さな花のミツを飲んでいる。カタバミは君たちの住んでいる住宅や公園にどこでも生えているポピュラーな植物。ぼくがモンシロチョウやベニシジミたちと一緒に春を告げるチョウとして親しまれているのは、そのせいなんだよ。
 早春の光の当たり具合によっては、ぼくたち(オス)の羽は美しい青色に光るんだ。春になったらカタバミの生えているところでぼくたちを探してみてね。

あたたかな日差しの中に色々な生き物を見つけておきたいこの頃です。