文部省初等中等教育局長通達

中学生・高校生のアルバイト就労に関する指導について

このたび労働省から標記のことに関し、別添のとおり依頼がありました。

生徒のアルバイト就労等に対する指導についてはかねてより御配慮を願っているところでありますが、依然として労働基準法等の規定に抵触して就労している場合もみられます。

生徒のアルバイト就労については、生徒の健康、学業への影響等に十分留意するとともに、生徒及びその保護者が労働基準法を正しく認識し、適正な労働条件のもとで就労するよう貴管下の関係機関に対し、一層の御指導をお願いします。

一八歳未満の年少労働者は、心身ともに成長期にあるところから、その就労については労働基準法上特別な保護規定が設けられており、それに基づいて従来から中学生・高校生(以下「生徒」という。)のアルバイト就労について適正な労働条件を確保するため、生徒を雇用する事業主に対する監督指導に努めるとともに、貴職に対しても、昭和四九年九月一八日付け婦発第四八一号、基発第二五三号「生徒のアルバイト就労等について」により、特段の御配慮をお願い致しているところであります。

しかしながら、昭和五二年度に、婦人少年局が貴省の御協力を得て実施した「中学生・高校生のアルバイト実態調査」の結果(別添「中学生・高校生のアルバイト実態調査―結果報告書―」参照)によると、労働基準法等の規定に抵触して就労している生徒が少なくなく、下記のとおり種々の問題がみられ、これが対策を一層進めることが必要と考えられます。

労働省においては、法定労働条件の確保のため、生徒を雇用する事業主に対する監督指導等を一層強化することとしておりますが、これが対策の万全を期すためには、学校教育の場を通じ、生徒のアルバイト就労について、生徒及びその保護者に対し、正しく法を認識させ、適正な労働条件の下で就労するよう指導していただくことが極めて重要であると考えられます。

ついては、貴職から、都道府県教育委員会を通じ、管下各中学校、高等学校に対し、左記の問題点を周知されるとともに、適正な労働条件による就労が行われるよう格段の御指導をお願い致します。

一 無許可で雇用されている生徒(中学生)がみられること(労働基準法第五六条関係)

中学生の就労については、当該学校長の修学に差し支えない旨の証明及び労働基準監督署長の許可を受ける必要があるが、調査対象中学校におけるアルバイト就労生徒のうち、学校に対し所定の手続きが行われた生徒は約四割にすぎず、約六割の生徒は、学校長の証明及び労働基準監督署長の許可を受けずに雇用されているものと考えられる。(報告書P一一〜一二)

二 就業禁止業務に就労している生徒(中学生)がみられること(労働基準法第五六条関係)

アルバイト就労生徒を対象とした個人調査において、夏休み中に就労した中学生のうち、就業禁止業務に就労している中学生が約三割(製造業一二・九%、建設業一一・六%、飲食店七・五%)みられる。(報告書P五〇)

三 一週一回の休日が与えられていない生徒がみられること(労働基準法第三五条、第六〇条関係)

学期中の就労生徒のうち中学生は六割強、高校生は約四割、夏休み中の就労生徒のうち中学生は約三割、高校生は三割弱の生徒について、一週一回の休日が与えられていない。なお、業種別にみると、新聞販売店に就労する生徒に、この割合が高い。(報告書P三五、P五四)

四 一日の労働時間が七時間あるいは八時間を超える長時間就労の生徒がみられること(労働基準法第六〇条関係)

学期中に就労した中学生の一割弱が、一日二時間を超える就労となっており、修学時間(通常一時限五〇分で六時限授業)を通算すると七時間を超えている。また、夏休み中の就労については、中学生の約三割が一日七時間を超え、また高校生の一割強が一日八時間を超えて労働している。(報告書P三五、P五五〜五六)

五 休憩時間が与えられていないか又は休憩時間が短い生徒がみられること(労働基準法第三四条関係)

夏休み中の就労生徒のうち中学生は半数近く、高校生は約八割が六時間を超えて労働しているが、休憩時間が全く与えられていない生徒あるいは四五分未満の生徒が、労働時間が六〜八時間の者に約一割、八時間を超える者に四割弱みられる。(報告書P五七〜五八)

六 深夜に就労している生徒がみられること(労働基準法第六二条)

中学生のうち午後八時から午前五時までの間に就労したことのある生徒が約一割(学期中一二・一%、夏休み中七・九%)みられる。また、高校生のうち午後一〇時から、午前五時までの間に就労したことのある生徒が一割弱(学期中七・九%、夏休み中〇・八%)みられる。(報告書P三九、P五八)

七 安全衛生教育を実施していない事業所がみられること(労働安全衛生法五九条)

アルバイト雇用事業所のうち安全衛生教育を実施していない事業所が半数近くみられるが、特に、小規模事業所にその割合が高い。(報告書P九四〜九六)

八 業務上の災害を被った生徒がみられること

アルバイト雇用事業所の一割弱(学期中六・七%、夏休み中三・七%)の事業所において業務上の災害を被ったアルバイト生徒がみられ、雇用しているアルバイト生徒の一%弱(学期中〇・四%、夏休み中〇・二%)が業務上の災害を被っている。(報告書P九六〜九八)

別添 (略)

労務安全情報センター http://labor.tank.jp/

・危険なバイトはしない
アルバイトをする上で一番大事なことは怪我をしないことだ。
バイト料が高い仕事の中にはキツイ仕事や危険な仕事である場合がある。
体力的にキツイくらいなら本人の意思次第だが、危険な仕事で怪我をして人生を棒に振るのは得策ではない。
法律で禁止・制限されている危険又は有害な業務もあるので注意したい。

ネットカフェ難民 初調査

 厚生労働省は十二日、日雇いの派遣労働などをしながらインターネットカフェを泊まり歩く住所不定の若者らを対象に、初の実態調査に乗り出す方針を固めた。「ネットカフェ難民」と呼ばれ、近年増加しているとされる。

 働いても生活保護水準程度の収入しか得られない「ワーキングプア」が社会問題化する中、東京・山谷などの簡易宿泊所を拠点にした従来型から、新しい日雇い労働の形態に移行しているともいわれている。

 厚労省は「支援が必要なのか、必要ならばどのような内容が適切なのかを考えるためにも、まずは実態を把握したい」としている。

 日雇い派遣労働は「スポット派遣」「アルバイト派遣」とも呼ばれ、派遣会社に登録すれば、携帯電話のメールなどで仕事の予約が可能。日払いで銀行口座や履歴書が不要なケースも多く、手軽に稼げることから近年、正社員として就職できなかった若者を中心に広がっているとされる。

 専門家は、低賃金で家賃が払えないなどの理由で、日雇いの若者らがネットカフェに流れ込んでいるとみている。

 厚労省は本年度中に調査を始める方針。具体的な方法は当事者への聞き取りや、派遣会社を通じて日雇い派遣の実情を調べることなどを想定し、詳細を今後詰める