土地柄、人柄

http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070423k0000m010087000c.html

東洋町長選:核廃棄物調査反対派の沢山氏が初当選 高知

初当選を確実にし、知人の子どもを抱き上げて喜ぶ沢山保太郎氏=高知県東洋町で22日午後9時37分、小松雄介撮影 原発から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場誘致に向けた第1段階調査(文献調査)の是非が争われた高知県東洋町の出直し町長選は22日投開票され、調査に反対する住民団体代表の新人、沢山保太郎氏(63)=無所属=が、調査に応募した推進派の前町長、田嶋裕起(やすおき)氏(64)=同=を破り初当選した。沢山氏は、23日にも文献調査の白紙撤回を国などに申し入れる。これで、調査はできなくなり誘致は振り出しに戻る見通し。

 投票率は89.26%(前回、前々回と連続無投票で、96年は89.63%)。当日有権者数は2934人。得票は、沢山氏1821票、田嶋氏761票だった。

 当選を果たした沢山氏は「核のごみの放射能からふるさとを守ろうと町民が立ち向かった結果だ。国の原子力政策が不信感や恐怖から破たん状態にあることを高知県の小さな町が示した。エネルギー政策の見直しが必要だ」と語った。

 田嶋氏が今年1月に応募したのを受け、調査実施主体の原子力発電環境整備機構(原環機構)が国に申請した調査計画が3月28日に認可されており、田嶋氏が当選すれば5月にも調査が始まる見通しだった。候補地選定に向けた公募を02年に開始してから初めての応募だったが、地元の民意で撤回されることは、今後の処分場誘致のあり方も含め、原子力政策の再検討を迫られそうだ。

 選挙戦で沢山氏は「核のごみを持ち込ませない」と安全の問題を訴えたのに対し、田嶋氏は「町の財政状況を一番に考えた。調査後に住民投票を実施して民意を図る」と財政問題を前面に押し出して訴え、調査の是非を巡る事実上の住民投票となっていた。

 調査への応募を強行した田嶋氏の行動に反発した住民らの動きが解職請求(リコール)に発展。田嶋氏は「選挙で思いを伝えたい」として4月4日に突然、辞職表明し、出直し選で民意が問われることになった。【井上直樹、大場弘行】

 ▽橋本大二郎高知県知事の話 三位一体改革で地方財源を一方的に削減し、困り果てた自治体のほおを札束で張るような原子力政策はもはや見直すべきだ。本来やる必要のない不毛な選挙で町民がどれだけ苦しんだか考えてもらいたい。

毎日新聞 2007年4月22日 22時09分 (最終更新時間 4月22日 23時10分)