教科書検定問題

昨年度末、日本史の教科書、沖縄地上戦に関して「日本軍に集団自決を強制された人もいた」が「集団自決に追い込まれた人々もいた」などと修正して合格したと文部科学省が公表しているが、
検定 審議実態なし/小委、文科省意見を追認
「集団自決」軍命削除/沖縄戦研究者は不在


http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709121300_01.html
2007年9月12日(水) 朝刊 1面
 文部科学省が高校歴史教科書の沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」について、日本軍の強制をめぐる記述を2006年度の検定で削除させた問題で、検定を担当した教科用図書検定調査審議会(教科書審議会)の日本史小委員会では「集団自決」の記述について審議委員の話し合いはなく、意見も出なかったことが11日、分かった。文科省の教科書調査官が検定意見の原案を示して説明し、そのまま意見が素通りしていたことが明らかになった。沖縄タイムス社の取材に、教科書検定審議会日本史小委員会の複数の委員が初めて証言した。=教科書検定問題取材班
委員の一人は「日本史担当の審議委員の中に沖縄戦を専門としている先生はおらず、議論のしようがない」と振り返った。その上で「日本史小委員会では『集団自決』に関する検定意見について教科書調査官の説明を聞いただけ。話し合いもせずに通してしまった。歯痒い思いだ」と語った。

 別の文科省関係者も、「日本史小委員会で『集団自決』についての具体的な議論はなかった。『調査官の意見、説明を聞いただけ』といわれればその通り。審議会では学問的な論争はしていない」と認めた。文科省はこれまで、「『集団自決』は日本軍の強制によるものだった」とする記述に対し「沖縄戦の実態について、誤解する恐れのある表現である」と検定意見をつけ、日本軍の強制に関する記述を削除させたことについて、「学術的な検討を得た審議会の決定」と説明してきた。

 伊吹文明文科相は、衆院文部科学委員会で「文部科学省の役人も安倍(晋三)首相もこのことについては一言も容喙(口出し)できない仕組みで教科書の検定は行われている」と答弁、政府の関与を一貫して否定し続けている。

 しかし審議会には検討の実態がなく、文科省から発案された調査意見が追認されただけであることが明らかになった。


政府の責任重い


 山口剛史・琉球大准教授 教科書審議会で審議されずに教科書調査官の発案を追認していたというのは予想通り。さも公平な審議がされたように説明してきた政府の責任は重い。国会で真相を明らかにし、これを機会に公平で開かれた審議会に改め、沖縄戦の正しい記述を取り戻すべきだ。