3月6日参議院予算委員会から

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-03-08/2007030825_01_0.html

小池 昨年度の国民健康保険の保険料の滞納は四百八十万世帯を超えました。そのうち一年以上滞納して保険証を取り上げられて資格証明書を発行された世帯は三十五万世帯で、いずれも過去最高であります。特に、一九九七年に国保法が改悪をされまして市町村にこの資格証の発行が義務付けられて以降、激増しています。

 資格証が発行されるとどうなるか。窓口では十割払わなければいけないわけですから、支払額があまりにも多いということで受診を控えるという傾向が指摘をされています。

 厚生労働省にまずお伺いしますが、保険証を取り上げられてしまった人に一体どういう影響が出ているのか、どれだけ受診を控えているのか、何らかの調査をやっていますでしょうか。

 柳沢伯夫厚生労働相 負担能力があるにもかかわらず保険料を納めていないという未納の方については、公平の観点から資格証明書を交付しております。ご指摘のような調査は行っておりません。

 小池 調査はやってないという答弁ですね。私は、払うことができるのに払えない人のことを問題にしているのではない。保険料を払うことができない人のことを問題にしているんです。

 私は、保険証の取り上げを自治体には押し付けながら、その実態を一切調査していない、影響を調査していないというのはあまりにも無責任だと思います。(中略)


 保険証を取り上げられ重症化したケースがあります。高血圧で治療を中断して脳出血になった。癌の治療を途中で中止した。最悪の場合は命も落としている。
 総理、日本というのは国民皆保険制度の国のはずなんです。ところが、実態としては、保険証を取り上げられ、受信が遅れて病状が悪化して命まで落としている。こんなこと絶対にあってはならないことだというふうにお考えになりませんか。


安倍晋三首相 今の委員のご質問をお伺いをしておりますと、突然いきなり保険証を取り上げられてしまうようなそんな印象を受けたわけでありますが、決してそんなことはないわけでありまして、まず、次のような理由によって保険料を納付することができないと認められる場合には被保険者証を取り上げることはしません。

 例えば世帯主がその財産について災害又は盗難に遭ったこと。世帯主又はその者と生計を一つにする親族が病気にかかり、又は負傷したこと。世帯主がその事業を廃止し、又は中止したこと。世帯主がその事業につき著しい損失を受けたこと。こうした事項があった場合には保険証を取り上げることは当然ないわけであります。

 資格証明書を発行するまでの交付事務の流れでありますけれども、通常、滞納が発生した場合には、納付相談を行う中で、災害等その後の事情により保険料を納めることができない場合には、条例に基づく保険料の減免の検討を行います。また、どうしても支払いが困難な方については、生活保護の申請の援助等を行います。

 そうした事情がないにもかかわらず、なお納付をしない方には、通常六カ月または三カ月の有効期間の短い被保険者証を交付して納付相談の機会を確保をするわけでありまして、さらにそれでも納付しない方については、災害等保険料を納付することができない特別な事情がないことを確認した上で資格証明書を交付をしていると承知をしております。

 小池 そんな丁寧なことが現場で行われていたらこんな事例が生まれるはずないでしょう。こういう実態がたくさん出ているんですよ。実際に受診を控えて、命まで失われている。先ほどの「特別な事情」には病気の場合も入っていますよ。しかし、病気の人が次々保険証を取り上げられている。そういう実態が現実にはあるんです。これは現実なんです。

 もちろん特別な事情であるかどうかは自治体が判断します。保険証を取り上げるなという運動が広がっていますから、取り上げない自治体も中にはある。しかし、多くの自治体では機械的な保険証の取り上げをやっている。それが私が紹介したような事態を生んでいるんですよ。

 こうした方々というのは、決して払えるのに払えないわけじゃないんです。病気になって悪化して命まで落としているんですから、そういう人が払える能力があるわけないじゃないですか。払いたくても払えない人たちなんです。こういう人たちだって、これまでは大変だけれども一生懸命保険料を払っていた。しかし、政府の進めた「構造改革」路線の中で切り捨てられ、振り落とされ、生活が苦しくなって保険料を払えなくなっている人たちなんです。(中略)

 しかも、先ほどから事情を考慮してやっているとおっしゃるけれども、子どもだって取り上げられているんですよ。千葉市では、乳幼児医療費助成対象の子どもたち、小中学生約九百人の保険証が取り上げられています。東京の板橋区では、気管支ぜんそくで東京都の公害医療の助成を受けている通院していた小学生の保険証まで取り上げられているんです。きれいごとをいろいろおっしゃるけれども、生活に困って保険料を払えない、そして保険証を取り上げられ病院にも行けなくなっている、こういう事態が起こっているんです。

 まさに政府がやっていることはそういう人たちを切り捨てることばかりなんですよ。私が問いたいのは、こういうことを続けていいのか。そういう建前だと言うけど、実態は違うんだから。だとすれば、こういうやり方をやめさせるということをしっかりこの場で述べるべきじゃないですか。どうですか。

 首相 先ほど申し上げましたようなルールに基づいて相談をしながら対応する、これは私どもの方針ですよ。しかし、今言ったようなご事情が本当にそうであれば、そんなことはしないように指導しなければいけない。しかし、それぞれの個々の事情については、その滞納に至った経緯を、全体をよく見てみないと私もここでは答えようがございません。どういう経緯で未納に至ったかということについては、よくこれは全体を見てみなければ、これは何とも答えようがないわけでございます。

 相談の窓口においてはきめ細かな対応ということは当然私は必要であろうと思います。

 小池 そうなってないのであればそういう指導をするというふうにおっしゃった。そういう指導をきちっとしていただきたい。

 実態としては、まさに生活に困窮している人からも保険証を取り上げているんです。こういうことはしないんだということを明言していただきたい。(柳沢厚労相が答弁に立とうとしたため)いや、総理に聞いているんです。

 厚労相 今総理が言われたように、具体の問題については、さらに何か目こぼしがあるのかないか、こういったことについてはよく見るように、よくまた相談にのるようにと、こういうような指導は徹底させていきたいと考えます。

 小池 実態としてはそういったことはやられてないんです。しかも、資格証は納付率を上げるためだとおっしゃったけれども、滞納率がどんどん伸びるのと同時並行で資格証の発行数が伸びているんですよ。資格証をいくら発行したって国保の滞納者は減ってないじゃないですか。これが現実なんですよ。全く機能してないし、しかも命すら奪う事態になっていることについて、調査もしていないんですから、まず調査していただいて、そういったことをなくするという努力をするべきだというふうに思います。


 小池 しかも、何でこういう事態になっているのかを正面から見る必要がある。やっぱり国保料が高すぎるんですよ。そういう実態があるんです。

 例えば大阪市の例を紹介したい。これは大阪市の夫婦、四十歳以上の夫婦、子ども二人の世帯です。収入が二百八十万円。自営業者であればこれがそのまま所得となります。こういう世帯の国保料が年間四十五万円です。介護保険料八万円、国民年金保険料、夫婦で約三十四万円、所得税、住民税で四万円、残るのは百八十九万円しかないんです。こういう本当に莫大(ばくだい)な国保料がかかってきている。

 これは、極端に高い自治体じゃないですよ。全国で一番高いのは大阪府守口市ですから、そこは同様のケースで五十三万円の国保の保険料になっている。まさに国保が貧困をつくり、ワーキングプアをつくる、こういう実態になっている。

 首相にお聞きしたいんですが、保険料を払う払うと簡単に言うけれども、総理、所得二百八十万円で四十五万円の保険料というのは、支払い能力を超えた保険料だと思いませんか。総理、総理が手を挙げているんだから。(厚労相は)いいですよ。

 厚労相 国保に加入している人たちについては広く薄くみんな負担をしてもらわなければ保険として成り立たない。こういう考え方でやっております。

 小池 これのどこが広く薄いんですか。四十五万円、これはちゃんと自治体当局にまで確認している正確な数字ですよ。総理、これが実態なんです。年間所得二百八十万円の世帯で四十五万円、これは決して、先ほどから繰り返していますが、極端に高い自治体ではない、これが実態なんです。こういう保険料にしてきたのはまさに政府なんです。頭割りの、いわゆる応益負担の保険料の比率を高めるという指導をしてきた結果、こういう実態に今なってきているんです。こういう保険料の水準でいいと思いますか。総理、率直な感想をお伺いしたい。

 首相 この国保については、大体おおむね国庫負担50%で推移をしているわけであります。

 この数字については、私ども初めて拝見をしているわけでありますから、この場ですぐにこれが正確だということを前提にお答えをするわけにはいかないわけであります。

 小池 さすがにこれが払える水準だとはとても言えないと思うんですよ。しかも、何でこういうことになってきているか。暮らしを支えるべき社会保障制度が暮らしを壊す、襲いかかってきているような実態があるわけですね。

 一九八四年と現在を比べてみますと、国保世帯の平均所得というのは、約百八十万円からなんと二十年間で百六十五万円へと減少しているんです。一方で、この二十年間で住民一人当たりの保険料というのは、三万九千円から七万九千円へと二倍以上になっています。一世帯当たりの保険料で見ても、十万三千円が十五万二千円へと一・五倍になっているんですね。所得が減りながら保険料が上がっているわけですからこれは払えるわけがない、そういう事態が起こっているわけなんです。

 ところが、国は八四年の法改悪で国庫負担の比率を下げました。先ほど50%で推移したと言うけれども、違います。八四年に大幅に国庫負担の比率を下げたわけです。その結果、一九八四年度から二〇〇四年度までに市町村国保に対する国庫の支出比率、これ49・8%から34・5%に下がってまいりました。総理、この国庫負担の削減というのがまさに国民健康保険の高すぎる保険料をつくってきたんです。

 国民健康保険自体は性格が変化してきているわけです。農業や自営業者中心の保険だったのが、だんだん無職者、失業者、不安定雇用の労働者といった、低所得者中心の保険に変わってきた。だとすれば、国の手厚い援助があって初めて成り立つはずなんです。

 ところが、この二十年間を見れば、国保低所得者中心の保険にどんどんなっていく中で、国は逆に国庫負担の比率をどんどん下げてきた。その結果、保険料が高騰して払えない人がたくさん出てきている。私は、国民健康保険の保険料を払える水準にするためにも、そして国保財政を本当にしっかり立て直していくためにも、国庫負担比率を引き上げるということが待ったなしの課題になっているというふうに考える。

 総理、全国市長会全国町村会国保中央会も国保の財政基盤を確立するべく抜本的な財政措置を講ずることという意見を上げています。こういう声にしっかりこたえるべきじゃないかと思いますが、総理、いかがですか。

 首相 これは若干細かい議論でありますが、国民健康保険の国庫負担については、先ほど私が答弁をいたしましたように、医療給付費等の比率で見れば、平成十六年度までおおむね医療給付費等の約50%の水準で推移をしています。保険料の水準上昇の背景に国庫負担の引き下げがあるという指摘は私は当たらないと思います。

 国民健康保険が保険制度であることを踏まえれば、主たる財源は保険料とすべきであって、また他の医療保険制度との均衡や厳しい国の財政状況をかんがみれば、現状より国庫負担を引き上げることは困難でございます。

 先ほど委員がおっしゃったのは、昭和五十九年に退職者医療制度を導入した際に、この退職被保険者の国庫負担が減少したことからそのパーセンテージが、国庫負担のパーセンテージが低下をしたということを指摘をされているんではないかと思いますが、退職被保険者以外の一般の被保険者に対する国庫負担の割合は、平成十六年までの間、50%で推移をいたしています。

 小池 一九八四年に医療費(全体)の45%から(患者負担を除く保険)給付費の50%に下げたわけでしょう。国庫負担比率を大幅に下げたんですよ。それが大きな原因である、そのことをお認めになりますね。

 首相 それは今私が申し上げたとおりでありまして、それは昭和五十九年の退職者医療制度のこの給付費等について、医療給付費等については、これはこの退職者医療制度が導入されたことによって、先ほど申し上げましたように、退職者の保険者以外の退職者保険者の割合が増加したと、これは国庫負担の少ない退職者、退職被保険者が増加したということであって、この退職被保険者以外の一般被保険者の医療給付等に対する国庫負担の割合は、平成十六年度までの間、約50%で推移をしております。

 小池 ですから、この間の制度改悪で国保全体の支出に対する国庫負担比率が下がったことは事実なんです。これは否定しようがない、今お話があったように。

 財政が厳しいから仕方がないんだとおっしゃるけれども、だったら、何で金持ち優遇の一兆円の証券減税は継続するんですか。六割以上が大企業にまわる法人税の設備投資の減税をやるんですか。そういったところにはお金をばらまきながら、大変な思いをしている国民健康保険の加入者からは悲鳴が上がっているのに、それを救う手だても打とうとしない。本当に冷たい政治だと思いますよ。金がないんじゃないですよ。こういう人たちの痛みを感じる心がないのが今の自民党公明党の政治じゃないですか。そのことが国保の今の現状にはっきり現れているということを申し上げたい。

病気になって勤めを辞めなければならなくなったら健康保険料なんてどうすればいいんだろう。生活保護を申請しに行っても「仕事を探しなさい」と断られてしまう。税金の減免処理、財産処分‥住む場所がなくなって親子二人で実家を頼るのか‥。帰ってきなさいというわけがない、もしも帰ったら母子でモノのようにこき使われる。奴隷に逆戻りだけは嫌だ。