生協法

 「男女同権、労働者の団結権、教育の自由主義化、専制政治からの解放、経済の民主化」の五大改革を掲げるGHQ(連合国軍総司令部)は、軍国主義国家の解体と民主主義の導入を強力にすすめていった。昭和21年11月3日に発布された日本国憲法では、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重がうたわれ、絶対君主であった天皇人間宣言を行なった。敗戦を境に、あらゆる社会秩序や価値観が、激しい勢いで変化を遂げようとしていた。
 消費組合も例外ではない。民主化の流れに呼応し、生協法の制定を求める動きが生まれていた。その背景には、戦前の「組合排斥運動」や、統制下での事業不認可をはじめとする活動の制約があった。法律によって活動の自由を保障したいという思いは、生協運動にかかわる人々が、長年抱き続けてきた願いだったのである。
 昭和21年6月23日、日本協同組合同盟は「協同組合法制定促進実行委員会」を結成。自ら法案の作成を始める一方で、「100万人署名・1人1円募金募集運動」を展開する。家庭会が中心となって65万人の署名を集めるなど、組合員レベルでも運動は盛り上がっていった。
 しかし、各地の商工会議所の強固な反対により、法律制定は難航を極めた。そして、ようやく生協法が成立したのは、昭和23年7月5日のことであった。
 理想とする当初の原案からすれば決して満点とはいえなかったが、それでも、生活協同組合の単独法を獲得した意義は大きい。

今月成立した改定生協法は県境を超えて隣接する県外への流通を認めている。生協どうしの競争を促していることが、組織の潰しあいになるかもと心配しているのは私だけかもしれない。改定を警戒していた生活クラブ生協は新方式を仕方のないこととして受け入れるつもりだ。強い組織にとっては「飴」に思えるのかもしれない。組織に政治介入が可能になっているのを気にしないのか。
 しかし、いろいろ考えてみると、憲法12条にある「公共の福祉」という言葉が消えているような自民党憲法草案なんかがある。そんな公益重視型な自民党が目指しているものはなんだろう。市民運動としての生協組織も狙われているかもしれない。改定生協法は生協組織に政治が介入できるようになっているじゃないか。生活クラブのシンクタンクが厚生省にガミガミ言っていた頃の気迫がないのは何故か。何かがおかしいわ。