残雪の山

http://www.sannichi.co.jp/local/news/2007/06/28/3.html
山梨県内のニュース(山梨日日新聞から)/主要

2007年06月28日(木)
富士山で雪かき
山開きの登山道開通へ山小屋関係者60人


登山道の雪かきをする山小屋の関係者=富士山8合目付近


頂上付近に残雪が多い状態が続く富士山の8合目付近で、7月1日の山開きに向け、山頂までの開通を目指し、スコップやつるはしなどで雪かきに取り組んだ=山日YBSヘリ「ニュースカイ」(NEWSKY)から


 富士山頂の残雪が多く、山梨県などが七月一日のお山開きで登山道開通を八合目までとしたことを受けて、山小屋経営者らでつくる「富士山吉田口旅館組合」(井上洋一組合長)は二十七日、八合目以上の登山道の除雪作業をした。県などは二十八日に登山道を再調査し、全面開通が可能か見極める。山小屋関係者は「登山道の雪はほぼなくなった」と開通へ自信をのぞかせている。
 同組合のメンバーら約六十人が参加。本八合目の山小屋(標高約三四○○メートル)から九合目までの区間で、登山道を埋めた雪をスコップでかき出した。石段などに凍り付いた雪はつるはしで砕くなどした。
 同組合などによると、二十日以降に降った雨などで融雪が進んだ。残雪は本八合目から九合目の登山道に四、五カ所あり、深さは最大で約一メートル。頂上周辺の雪はほぼなくなったという。
 作業に参加した山小屋経営者の男性(58)は「山開きを楽しみにしている登山客のためにも、何とか開通させたい。あと数日だが、まとまった雨が一度でも降れば間に合うと思う」と話している。

2007年06月29日(金)
富士山、山開きの登頂OK
登山道の雪かき実を結ぶ


雪かきをする山小屋関係者


28日の県職員による登山道調査では雪がなくなっていた=富士山8合目付近


 雪解けが例年より遅れ、七月一日のお山開きに登山道開通が八合目までとされていた富士山について、山梨県は二十八日、再調査を行った結果、「登山道の雪がなくなった」として、全面開通することを決めた。天気が良ければ山頂で「雲上の御来光」を楽しめることになる。一回目の登下山道調査をした二十日以降、好天に恵まれ融雪が進んだことに加え、山小屋経営者らによる懸命の除雪作業が実を結んだ。登山客の減少を心配していた観光関係者からは安堵(あんど)の声が相次いだ。
 この日の調査には県土木部、観光部などの職員約十人が参加。前回の調査で残雪があった八合目から頂上付近を中心に調べた結果、頂上までの登山道で雪がなくなり、歩行が可能になったことを確認した。
 一方、下山道の一部では残雪があり通行が不能として、山頂から八合目の山小屋「白雲荘」までの下山は登山道と共用することにした。交互通行による事故防止のため、看板設置やホームページで注意を促す考え。
 二十日の調査では、八合目以上の登山道で最大約一メートルの残雪があり、八合目の山小屋「太子館」以上の登山道を通行止めにすることにしていた。
 県の方針を受け、二十七日に山小屋経営者らでつくる「富士山吉田口旅館組合」(井上洋一組合長)のメンバーが除雪作業を実施。本八合目−九合目を中心に雪かきをした。県の担当者は「見違えるほど雪がなくなった」と除雪作業の成果に驚いた様子だった。
 山開きに頂上までの登山ができなくなるという十年ぶりの事態を免れたことで、関係者は安堵の様子。除雪作業に参加した山小屋従業員の男性は「一度頂上まで登れないと決まったことで、登山をキャンセルする客もいた」と明かした上で、「間に合ってよかった。キャンセルした人も戻ってくれるかな」と笑顔で話した。
 井上組合長は「何としても登山道を開けようと、山小屋関係者が一丸となって取り組んだ結果だと思う。間に合ってうれしい」と喜んでいた。