自民党大敗

 自民27議席減、ここまで自民党が大敗したのは、なぜでしょう。
 年金の保険料を納めた多くの人の記録がなくなった問題に素早く手を打たなかったり、安倍晋三内閣の大臣がお金にまつわる疑惑を持たれたり、「美しい国」という考え方を押し付けてきて個人の考え方の自由を否定することへの反発が起きたこと、そして日本社会に深刻な経済格差を生み出した『小泉改革体制』では生活が苦しくなるばかりだと実感する人が多数だったことなどが自民党大敗の原因とみられます。
 1998年の参院選でも自民党は44議席だったために、当時の橋本龍太郎総理大臣は責任を取って首相を辞めています。
 今回は37議席という結果ですが安倍首相は「首相としての責任を果たしていく」と、辞めない考えでいます。安倍晋三のお祖父さん岸信介の遺志に従う、お祖父さん岸信介との約束を果たそうとしてこだわっているように見えてきます。

 「美しい国」の考え方は戦後民主主義国家日本というものを、基本的に否定的にとらえながら、この国を作り直さなければならないということですが、どこを作り直さなければならないのかというと、一番先に憲法だということなのです。
 憲法は国のあり方の基本を定める根本的な法です。この国のあり方が根本的に自分の考え方と違う、自分の考え方と違う憲法は変えてしまおうというのが安倍晋三の目標です。
 安倍晋三にとって憲法のどこがいけないのかというと、まず出来方がいけないといっています。憲法は占領国家アメリカが押しつけたもので、それも1、2週間で若手官僚がデッチ上げた出来の悪いものだとけなしています。戦後日本がおかしな国になったのは出来の悪い憲法に原因があるためで、憲法を作り直さないことには、新しい日本の出発がないという意見なのです。

 このような意見についていけない人が多く、今までの日本の発展を支えた憲法を否定できる人が少なかったことも選挙の結果に出ていると思います。

「首相」
 日本の首相は国会議員同士の選挙で選ばれます。だから、国会で多数の政党から選ばれることが多いのです。首相を誰にするかで衆院参院の意見が食い違う時は、衆院の考えを優先する決まりがあります。安倍晋三が続けようと考え、衆議院与党(自民・公明)の人が認めれば、首相を続けられます。