授業時間増・教科書改訂

http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20070831k0000m010093000c.html
中教審:小学校30年ぶり授業増 主要教科目を1割
 文部科学省は30日、小学校の「総合的な学習の時間」を削減し、主要4教科(国語、社会、算数、理科)と体育の授業時間を約1割増やす方針を固めた。また、高学年を対象に週1時間程度の英語活動を新設するなどして、年間の総授業時間を低学年で70時間、中高学年で35時間程度増やす。同日の中央教育審議会の専門部会で大筋で了承され、同省は今年度中に改定される学習指導要領に反映させる方針だ。小学校の授業時間が増えるのは77年の改定以来30年ぶり。

 主要教科と体育については、低学年では国語、算数、体育▽中学年が国語、算数、体育、理科、社会▽高学年が算数、理科、社会−−を充実させる。3年生以上で実施されている総合学習は、各学年ともに、現行の週3時間(年105〜110時間)程度から週2時間(年70時間)程度に減らす。英語活動は「幅広い言語力や国際感覚の基盤を培う」ことを目的として高学年に週1時間(年35時間)程度を課す。

 増加する時間分の確保には、総合学習の削減分のほか、夏休みなど長期休業の短縮、多くの学校で行われている朝の10分間読書の時間などを学校現場の状況に応じて活用するよう求めている。

 この日の中教審教育課程部会で、文科省は、学習指導要領改定に向けた基本的な考え方などをまとめた「検討素案」を提示した。素案は、現行指導要領にも盛り込まれている、自ら学び自ら考える力の育成をするという「生きる力」の重要性を強調している。

 そのうえで素案は「生きる力の(育成の)観点から(前回改定は)授業時間を削減した。しかし、基礎的な知識の習得と知識の活用を行うためには、現在の小中の必修教科の授業時間は十分ではない」と授業時間を増やす理由を説明している。

 学習指導要領は今年度中に改定・告示される予定だが、教科書作成に時間がかかるため、実施は早くても11年度になる。【高山純二】

 ◇解説 学力低下批判に配慮

 小学校の授業時間が30年ぶりに増えることになったが、学力がすぐに向上するかは疑問だ。中央教育審議会教育課程部会でも同様の疑問が呈され、現場に負担を強いる時間増に慎重な対応を求める意見も出た。

 授業時間増は、1割の授業時間増を含む「ゆとり教育」見直しを求めていた政府の教育再生会議など、学力低下批判に配慮しただけにも見える。文部科学省には、なぜ1割増かについて、学校現場を納得させるだけの説明が求められる。

 文科省が学習指導要領改定に向け基本的な考え方などをまとめた「検討素案」では、ゆとり教育の基本理念とも言える「生きる力」の重要性を再三指摘。授業時間増だけを見れば、ゆとり教育は「見直し」されたが、実際はゆとり教育の基本理念を堅持していることを強調している。

 学力低下傾向の原因について、素案は「文科省と学校関係者や保護者、社会との間に十分な共通理解がなされなかった」と指摘。詰め込み教育の反動もあって、ゆとり教育の前提となる基本的な知識の指導もおろそかになったと総括した。

 生きる力の考え方が浸透していれば、わざわざ授業時間を増やして、学校現場に負担を強いる必要もなかったかもしれない。それだけに、文科省の説明不足の責任は重い。【高山純二】

毎日新聞 2007年8月30日 22時05分 (最終更新時間 8月31日 2時56分)

今の小学生のブランクはどうするのか、二年生で勉強するものを三年生にさせるような先延ばしの「ゆとり」を元に戻すのには…。2011年から改訂教科書ということは「ゆとり教科書世代」が2003年生まれまでということになるとおもいますが、全学年の教科書を一斉に書き変えるのか、2011年入学児童から「ゆとり」ではない、ゆとり以前と同様の教科書を使い始めるのか。教科書を作と言っても、そんな細かいことがよくわからないと思う。どこの保護者も不安だろう。
 しかし、労働問題を見ると、時間数を増やして、正規雇用教員を増やさないだろうから、ゆとりない現場は深刻な事態ということは確かです。