労働組合は問題を意識しよう

tomonee2007-09-11

 今年度の職場会で「もてる権利は獲得しちゃったから、組合をやっていても得にならない」という本音を先輩が語っていた。私はその先輩の言葉がものすごくショックで、しばらく人と口をきくのが嫌になっていた。
 卒業させた子たちが非正規雇用で苦しんでいるのを「自業自得」のように語る先輩をひっぱたきたい気分だった。今もそうだけど。
 そんな上司に暴力をふるうのは自分が損をするだけだから、ここは理性を働かせてとにかく我慢している。それでも、若者の労働環境を守らなくては社会問題が深刻化するのは明確だと思っているので、支援のためのビラは分会掲示板に貼らせていただく。
 多分どこの分会にも若者の労働問題が心配な人はいるんだと思う。今度の支部の集まりでも若者の自殺について(仕事のしわ寄せが主な原因で自殺したんだと思えるようなことが度々起きているから)組合加入者以外で、非正規雇用などの苦しい立場の同僚に目を向けるべきだと話して見ようと思う。

私たちは問題を見過ごしてしまって、同僚に自殺されたりしている。本人のせいじゃなくて支える仕組みが失われていることが一番の問題だと。

 冷たい反応が来るのは分かっているけれど、若者の問題を無視していたくない。反応が返って来なくても、必ず誰かが聞いていてくれると信じます。

 自分たちの問題にしか取り組まない労組は社会的信用を失い、そのツケは自分たちに回ってくる。

 毎日新聞労働組合のあり方について記されていた。

http://www.mainichi-msn.co.jp/eye/kaisetsu/news/20070908ddm004070151000c.html
土曜解説:連合の運動方針転換=社会部・東海林智

正社員・非正規労働者比率の推移 ◇「労働者の連帯」正念場

 労働組合ナショナルセンター「連合」(高木剛会長)が、10月に開かれる定期大会に、パートなど非正規労働者や中小・零細企業の労働者への支援を最優先とする今後2年間の運動方針を提案する。「正社員クラブ」ともやゆされる連合の運動方針の大転換と言える。

 連合は、自動車産業、電機産業など大企業の労組や、日教組自治労などの公務員労組が組織の多数を占めることもあり、大手企業の正社員中心の労働運動を進めてきた。春闘でも、大手が先行して賃上げを獲得し、中小の賃上げに波及させるスタイルで闘ってきた。連合結成前の総評、同盟時代から続く闘争方式は労組の影響力を示してきた。しかし07年は「1000円春闘」と言われ、景気が好調にもかかわらず思うような賃上げが獲得できず、影響力の低下が指摘されている。

 背景には、大企業が一定の賃金水準に達し、「国際競争力」を打ち出す経営側に対抗しづらくなっていることがある。だが、何よりここ数年で急速に非正規雇用の労働者が増加したことが大きな影を落としている。雇用者に占める非正規労働者の割合は06年に33・2%に達した。この割合は85年の16・4%の2倍以上で、3人に1人は非正規だ。

 非正規雇用の増大は正社員との所得格差の拡大や労組の組織率低下に拍車をかけた。労組の組織率は18・2%に低下し、非正規労働者に向き合わなければ、労組が少数派に転落するところまで追い込まれている。一方、非正規労働者は、低賃金で不安定な日雇い派遣という働き方の増加や働いても貧困から抜け出せないワーキングプアなどが社会問題化し、労働者を代表する組織として看過できない状況になっている。さらに、規制改革論者は「非正規労働者の待遇が悪いのは正社員が既得権にしがみついているから」と主張。労働者同士が分断され、いがみ合う構図が作り出されかねない事態もある。

 そうした中、首都圏青年ユニオン派遣ユニオンなど個人加盟の労組が非正規労働者問題に積極的にかかわり、不払い残業代を支払わせたり、給与からの不当な天引きをやめさせるなどの成果を上げている。大組織の連合が何もしないのでは、労組の存在が問われかねない状況だ。

 連合幹部は「自分たちの問題にしか取り組まない労組は社会的信用を失い、そのツケは自分たちに回ってくる」と危機感を示す。リストラが横行した時代、組合は低賃金のパート労働者を放置してきた。このため、経営者に正社員からパートへの労働力の置き換え(リストラ)を容易に発想させた苦い経験がある。

 支援は「非正規労働センター」(仮称)を全国に設置し、雇用や労働条件の相談や組織化に取り組む予定だ。別のナショナルセンター全労連(坂内三夫議長)も「今そこにあるユニオン」のキャッチフレーズを掲げ、1人でも加盟できる地域ユニオンの育成に力を入れ、非正規問題を重視しており、組織を超えた動きが強まっている。

 連合は今年、「(非正規は)働く者として同じ立場にある」という決意を方針に込める。労働の尊厳が脅かされるような働き方が広がる時代、「労働者の連帯」という古くて新しい言葉に再び命を吹き込み、反撃できるのか。連合の本気度が試されている。

毎日新聞 2007年9月8日 東京朝刊