映画『蟻の兵隊』

 

とても嬉しい上映会が12月、東京・町田の桜美林大学で開かれる。
学生が自主的に運営するこの上映会、学生代表の阿部拓真君は祖父の善夫さんが山西残留日本兵だった。奥村さんとは原隊が一緒で、同じ収容所で抑留生活を送り、昭和29年9月、同じ興安丸で復員した。
だが、善夫さんは帰国後8年足らずでがんのため他界。だから、拓真君は祖父の顔を知らない。ほかの多くの残留兵がそうだったように、善夫さんは残留のことを家族にもほとんど語らなかったという。祖母から聞かされたわずかな情報から祖父が不条理な戦争に巻き込まれたことを知った拓真君は、三十八歳の若さで亡くなった祖父の足跡を辿ろうとずっと研究を重ねていたという。そして、映画『蟻の兵隊』に遭遇した。
僕と奥村さんが拓真君に初めて会ったのは、9月29日に開かれた日野市での上映会。坊主頭の学生がまっすぐに僕らのところに近づき、言った。
「実は僕のじっちゃんは山西残留兵なんです」
それから彼は善夫さんの収容所時代の写真を奥村さんに見せ、「この人を知っていますか」と恐る恐る訊ねた。訝しげに写真を眺めていた奥村さんは、ややあって「おおっ、ゼンプか!」と叫び声をあげた。よく知る戦友だったのだ。
上映後の懇親会もお開きになり、酒好きの僕と奥村さんは拓真君を二次会に誘った。奥村さんから兵隊時代の善夫さんの話を聞いた拓真君は、やがて決心したように、「桜美林で上映会をやります!」と宣言した。

桜美林大学上映会

日時:12月14日(金) 16:30〜上映(開場16:10)
会場:桜美林大学町田キャンパス サレンバーガー館1101
   アクセス→横浜線町田駅よりスクールバスで10分
問い合わせ:s0622002@obirin.ac.jp

孫が祖父の戦争を語り継ごうとする上映会。この上映会をなんとしても成功させたい。
当日は上映後に僕と奥村さん、そして拓真君の三人でトークを行う。
まずは200席の会場を満席にすること。それが若くして亡くなった善夫さんやご家族の苦労に報いることだと思う。
皆さん、どうかこの上映会を後押ししてほしい。