メディアとイスラエルの共犯―罠にはまっている私たち
みなさまへ(転送・転載歓迎) <メディアとイスラエルの共犯―罠にはまっている私たち>
●メディアの偏った報道―視聴者から見るはなはだしい不公正
11日、日曜日午後6時のNHK「海外ネット」のパレスチナ報道をみた。一見、ガザ市民の無差別な被害を憂えるトーンではあった。しかし報道時間の7割はイスラエル政府報道官の攻撃理由の説明に費やされ、ハマース側の停戦破棄と反撃の理由にはインタビューさえもない。
使われた映像も、ガザ現地からのものは無く(ジャーナリストが締め出されているのだから已む無いとしても)、いつ取材したか分からないイスラエルの垂れ流した覆面ハマースの訓練場面を繰り返し映し出す手法。あたかもハマースが「テロリスト」の代表であるかのように。これと同じ場面を、かつても観たことがある。9・11直後のアフガニスタン侵攻のときのアルカイダ、そしてイラク戦開始時のフセイン「幻の大量破壊兵器」のときである。アメリカもイスラエルも、「敵」を徹底的に悪の象徴として喧伝する手法は、インターネット時代の今日、ナチのゲッベルスを百万倍も凌いで全世界を覆う。
NHKと大新聞は(そして民放も)、イスラエルの与えたフレームにすっぽり嵌っている。紛争や戦争を憂えるふりをして、その原因は「敵=テロリスト」にあるという報道の構図は一貫している。ハマース(あるいはヒズボラ)やパレスチナ民衆の攻撃からイスラエルは「自国を防衛する」権利がある。
停戦を破棄しカッサムロケット弾でイスラエル民間人を攻撃しているハマースが悪い。
「国際テロリスト」ハマース、ヒズボラ、イランはイスラエル国家を認めず「地図上から抹殺すべし」と言っている。
BBC、CNN、NHKのビッグTV局、大手新聞など世界の巨大メディアは、この三点セットの枠組み(フレーム)の中でガザ空爆やパレスチナ問題を報道・放映している。●前提の大嘘
この三点セットを批判する前に、二つの大嘘をメディアは触れようとせず暴こうともしない。
第一は、ハマースもパレスチナもイスラエルと「対等の国家」ではない!したがってハマースにもパレスチナにも「国家」や「国防軍」のようなものは存在せず軍事的能力はほとんど無い!
片や世界第4位の核軍事力を擁し、クラスターから劣化ウラン弾、白リン弾、バンカーバスターまであらゆる新兵器の実験場をつくっている戦争犯罪国家である。
これに抵抗するパレスチナ人は、まず投石や銃、砂糖などを燃料にした手製カッサムロケット砲。このまったくの非対称な軍事力の差をメディアは対比せず、あたかも「両者対等」であるかのように描き出す。第二の大嘘は、すべての元凶である「軍事占領」しているという冷厳な事実に触れないことである。パレスチナ人の基本は、全生活を不自由にしている不当な軍事占領に抵抗し戦っているという積年の事実を、すべてのメディアは触れようとしないか掘り下げようとしない!それは欧米が、「国際社会」がそれを認めているからだ。この元凶を隠蔽し続けるかのように全メディアは、これらのことを暴いたり関連付けたりせずに、「過激派ハマースの脅威」を針小棒大に描き出し目先の現象に人々を縛り付けておく。
こうした欧米中心の「国際社会」の大嘘と闘いつづけているのが、この60年のパレスチナ人なのだ!
パレスチナ人は、60年間もイスラエルの侵略と攻撃から土地と民族を防衛するために戦ってきたのだ!イスラエルの日常の攻撃、略奪、暗殺、破壊、そして全パレスチナ人への抑圧と弾圧を放映・報道することなしに、イスラエルの「防衛権利」ばかりを誇大に垂れ流すメディア。まるでガザのパレスチナ人に生活防衛の権利などないかのように!
2ヶ月前から停戦を破っているのは、イスラエルだ!昨年11月、12月と幾度も停戦期間中にガザを空爆していたのは、イスラエルだ。停戦期間中にハマースが約束を履行していたことは、イスラエル高官でさえ認めている。ハマースが攻撃を再開したのは、イスラエルが攻撃したあとだ。しかも停戦期間中、イスラエルはインシュリンなどの医薬品から
医療備品、食料、電力が途絶えるまでラファやエレツの封鎖を強化してきたのは、ハマースのロケット弾攻撃を阻止するためなのか!ハマース以外の市民を攻撃しないというイスラエルがなぜ、モスクや病院、医師、救急車、救急隊員、国連の学校や職員・輸送車、漁船や女子寮を爆撃しなければならないのか?だれもイスラエルを「抹殺」とは言っていない!ハマースはずーっと前から、「軍事占領しているイスラエルは認めない。せめて67年国境線(グリーンライン)まで撤退したなら、交渉に応ずる」と言ってきた。ハマース指導者が交渉に手を指しのばすと、ミサイルのピンポイント爆撃で爆殺してきたのはイスラエルだ。イランのアフマディネジャドも
「地図上から抹殺」と言ったのではなくホメイニ発言を引用して「エルサレムを占領している現在のイスラエル政府は歴史から消え去らねばならない」と述べたのである。メディアは好んでこの「抹殺」を繰り返し、「テロリスト」のイメージ作りを増幅させている。この三点セット情報を全世界10億の民に流すと、あらゆる虐殺に正当性が与えられイスラエルは大威張りで「テロリストと戦っている」と強弁できるのである。
●ハマースを殲滅することは、150万人ガザ市民を殲滅すること
「イスラーム抵抗運動」というハマースは、周知のように民生部門で全ガザ住民の生活・教育・福祉を支えている。ヨーロッパをはじめ歴史的な各地のレジスタンス運動と同様、民衆に深く根ざしたハマースをあの人口密集地で殲滅するということは、いま現下で無慈悲に行われているように大虐殺にならざるを得ないことは火を見るよりも明らかだ。
ハマースは民間人を盾に使っている…?
手で運べる移動式カッサムが市街地にあれば、全民衆が虐殺対象となる。
ハマースはガザを実効支配している…?
ガザの領空・領海・領土を支配しているのは、イスラエルだ!●民主主義の二枚舌―欧米は、民主主義を抹殺するのか?
ハマースは「まったく模範的で民主的な選挙」(カーター元大統領)で選ばれた正当な政権である。それをはじめから経済封鎖し自治政府を分裂させ政権から追い落としてきたのは、イスラエルだけではなくアメリカ、EU、ロシア、中国、日本だ。
「国際社会」の二枚舌こそ民主主義をはてしなく形骸化させている。メディアは一貫してこのダブルスタンダードを当然のように扱い、あまつさえファタハとの「内紛」のせいにしてほうかむりしている当の「国際社会」を裁こうとはしない。そして私たちは、この二枚舌の傘の下で無関心を装うことができるのだ。今回のガザ侵攻は、けっしてハマースとイスラエルの「紛争」ではない。西岸では、延命をはかるアッバスのもとで自治政府警察やファタハが民衆のガザ連帯デモを鎮圧しイスラエル占領軍のエルサレムやチェックポイントでの警備・抑圧が強化され若者の犠牲者が急増している。
じつはイスラエルは、パレスチナの「抵抗運動」そのものを殲滅したいのである。西岸や450万難民、すべてのパレスチナ人への攻撃だということは、すこし歴史をさかのぼれば分かることだ。しかしこれを語っているメディアはすくない。パレスチナ人がもはや組織的に抵抗できないように、西岸地区を三つのバンツースタンに閉じ込め、イスラエル占領軍の巨大な検問所が出入り口をコントロールしアメリカの武器をもつ自治政府警察に鎮圧させている。全長700キロ高さ8メートルの分離壁も「自爆テロ」からイスラエルを守るためではなく、入植地を守るためだけでもなく、なによりも
パレスチナ人が占領に抵抗できないように閉じ込めておくために建設されている。占領に抵抗するハマースの戦いは、全パレスチナ人の戦いだ。西岸でも売国奴アッバスからは勿論ファタハからもつぎつぎと離れ、底辺からハマース支持がひろがっている。どんな虐殺があっても、パレスチナ存在の大義は失われることがない。それは彼らの生存理由だからだ。60年の歴史がそれを証明している。
●「暴力の応酬」「報復の連鎖」という隠蔽言説
とくに9・11後、この言葉が常套句となった。すべてのメディア、多くの「平和活動家」たちでさえこのフレームの上で「平和」を語ってきた。あたかも憐れみとヒューマニティをもつ「われわれ」こそ「平和愛好者」であり「中立者」であり、まるで「双方」が自分たちの平穏をかき乱したのだといわんばかりである。世界中に不当な支配と闘っている
人々がいるのに、日本では皆がみな戦わなくとも「平和」でありうると思いこんで、「紛争」はいけないと目をひそめる。「あんなロケットなんか飛ばさなきゃいいのにね。そしたらこんな被害も起きないのに…」とある人がため息混じりに言った。またある人は「どっちもどっちだね」と。こういう受け止め方を許していることが、イスラエル=「国際社会」=メディアたちの共犯の「成果」なのだ。「どっちもどっち」「暴力の応酬」「報復の連鎖」と言っているあいだ、「国際社会」の躊躇に促されて虐殺はつづいていく…。
●犯罪国家イスラエルに制裁を!戦争指導者を国際法廷に!そしてボイコットを!
イスラエルはテロで不法に占領した60年前の「建国」以来、軍事的膨張主義で領土を侵略拡大してきた。今回のような抵抗に対する「集団懲罰」は、イスラエルのお家芸だ。それはとりもなおさず、パレスチナ人の血の犠牲の上になされてきたことである。イスラエル発の「反テロ戦争」は「国際社会」の常識と化した時点で、大量無差別虐殺という正体
を白日の下にさらした。そして、このガザ虐殺を90%の国民が支持するという、悪魔の国と化したイスラエルはナチの再来を髣髴とさせる。60年間の歴史のすべてが、違法・不法・犯罪のデパートのようなこの国家を許容してきたのは「欧米国際社会」である。650万イスラエル国民のためにも、来るべき国際正義のためにも、世界民衆の未来のためにも、いまこそイスラエルの野蛮を糺し虐殺中止の世界中の声をひとつにしなければならない。戦争指導者を国際法廷に引きずり出し、経済制裁を、ボイコットを実現すべき時だ。
あらゆる人間のいのちと尊厳、正義のために。そのときメディアの役割は甚大だ。
2009年1月13日
パレスチナ連帯・札幌 松元保昭
以下転載です。
☆皆さんへ☆
全国各地で、ガザを描いた映画「レインボー」が自主上映されていますが、その資料だそうです。
以下を必ず入れるという条件で、転載・転送・その他の利用可
翻訳:山田和子初出:Washington Report on Middle East Affairs,
August 2005, pages 22-23原文:http://www.wrmea.com/archives/August_2005/0508022.html
私の家を壊したのはなぜだ、シャロン!?
──レインボー作戦から1年がたって“Sharon, Why Did You Destroy My House?”: Operation Rainbow a Year
LaterMohammed Omer
・・・
イスラエル軍は、この軍事侵攻を「レインボー作戦」と名づけた。そし
て、この名前はコンピュータで無作為に選んだものだと言った。しかし、
殺戮の1週間を耐えたラファの人たち、ラファの子供たちにとって、「レ
インボー作戦」の名は、このとてつもない恐怖の1週間を表わすにはあま
りに腹立たしい脚注だった。ギリシャ神話では、虹は、大地とオリュンポス山、人間と神々の間をつな
ぐ橋だ。旧約聖書では、大洪水を起こして世界を破滅させたのちに、神
は、平和と再生の象徴として空に虹をかけたと記されている。だが、2004
年の5月、ラファの夜空を覆いつくした砲弾・爆弾がもたらしたのは死だ
けだった。「レインボー作戦」の名が妥当だと言えるとしたら、それは、
あれから1年たった今、ラファの人たちに襲いかかったイスラエル軍の激
烈なテロ攻撃のイメージは誰の頭にもまだありありと残っているのに、実
際の痕跡は虹のように薄れかけているというところにしかない。第2次インティファーダが始まってからほぼ3年、ラファの人たちにとっ
て、イスラエル軍の侵攻はもうすっかりおなじみの出来事になっていた。
上空にアメリカ製のアパッチ攻撃ヘリが現れ、地上の戦車とともに砲弾を
浴びせかけ、その後に巨大ブルドーザーがやってきて、家を、電気や水道
などのインフラ設備を、人間を押しつぶしていく……これがいつもの手順
だった。「レインボー作戦」遂行の口実は、それまでの幾度もの
侵攻と同様、「保安上の理由から」──ラファからボーダーを越えてエジプ
トにつながっている密輸トンネルなるものを見つけ出し、破壊するという
ものだったが、2004年5月のイスラエル軍の攻撃/大殺戮は、エジプトと
のボーダーからかなり離れたラファの北部、タル・エッ・スルターン地区
とブラジル地区から始まった。戦車とブルドーザーは道路という道路をズ
タズタにし、電気・水道・下水のライフラインを完全に破壊し、地区全域
の家屋を押しつぶし、はては、ラファのたったひとつの小さな動物園まで
ブルドーザーの下敷きにしてしまった。イスラエル軍の狙撃兵は、背の高い家の屋上に陣取り、ありとあらゆるも
の、動いているありとあらゆる人間に銃撃を浴びせた。洗濯物を取り込み
ペットのハトに餌をやろうとしていた10代の子供ふたりを「敵対的な動き
を見せた」と言って撃ち殺した。空からはアパッチ攻撃ヘリが間断なく砲
弾を落とし、大勢の人たちが手も足も頭も胴体もバラバラにされて一帯に
飛び散った。レインボー作戦が進行していくうちに、食べ物も水も医薬品もなくなって
いった。救急車はイスラエル軍の銃撃に阻まれて、怪我をした人のもとに
行くこともできなかった。アン・ナジャール病院の遺体安置室はあふれか
えり、やがて、殺された人を埋葬するために外に出ることさえできなく
なって、急遽、それまで野菜を入れていた商用の大型冷蔵庫が遺体を保存
するために使われることになった。ひとときたりとやむことのない爆発と銃撃の音も、住民の絶望の声をかき
けすことはできなかった。ひときれのパンを、コップ1杯のミルクを、ひ
としずくの水を欲しがって泣く子供たち。その子たちに何も与えることが
できないのを嘆く父親と母親。突然夫を亡くして寡婦になった女性と親を
亡くして孤児になった子供たちの悲しみの声。死にかけた人、手足を切断
された人たちの苦悶の叫び。そんな合間に沈黙が降りるのは、かつて人間
だったものの一部分を目のあたりにした時だけ。バラバラになった脚、
腕、胴体の一部。救急車の運転手が回収できたのはそれだけでしかなく、
みな、ショックと信じられないという思いに包まれて声を失ったまま、ど
れが自分の家族や親族や友人たちの脚や腕や胴体の一部なのかを、何とか
確認しようとしていた。1年たった今でも、当時の写真を見ると吐き気がこみあげてくる。どれも
コンピュータの画面上のただの点の集まりにすぎないというのに。僕は、
この時点で初めて、これらの写真のリンクに「正視できない残酷な写真で
す」と、警告と謝罪をつけるようになった。それでもなお、あの時、つい
今しがたまで生きている人間だったもののバラバラの断片が山と詰まれた
病院の担架の横に立っていた時の、あの血と肉片の現実よりは、写真のほ
うがまだしも耐えられると言っていい。国際社会の抗議の声が届くのは遅く、聞こえてこないも同然だった。レイ
ンボー作戦が終了するまでに、60人のパレスチナ人が殺され、数百人が負
傷し、多くが一生に及ぶ障害を抱えることになり、数百軒の家が破壊され
て、何千人もの人が住む場所を失った。5月16日、イスラエル軍のアパッチヘリは、武器など持っていない数百人
の大人と子供のデモの隊列に砲弾を撃ち込んだ。数人が死亡し、大勢が負
傷した。このデモは、国際社会に、食べ物と水の支援に加えて、何とか介
入してほしいと訴えるものだった。イスラエル軍は「パレスチナ人が先に
銃撃してきた」と強弁したが、デモに参加していた10人以上のジャーナリ
スト──ほとんどが、それぞれに何とか戦火をかいくぐってやってきた人た
ちだった──が撮ったビデオと写真で、デモに参加した人はいっさい武器を
持っていなかったことが証明された。ここに来てようやく、アリエル・シャロンの全面的な支援者・協力者で
あったブッシュ政権も、公的な抗議の声を無視できなくなった。イスラエ
ル軍は徐々に撤退を始めた。だが、撤退が始まってから数日後、UNRWA
(国連パレスチナ難民救済事業機関)の当時の事務局長、ピーター・ハン
セン氏がラファの被害状況を視察に訪れた際、イスラエル軍の狙撃兵が、
国連の視察団一行からわずか1ブロックしか離れていないところで、3歳の
女の子を撃ち殺した。レインボー作戦から1年たった今、53歳のアブー・ソフィ・アジャーレ
ワーンは、毎日、ほとんどの時間を、かつて自分の家だった瓦礫の山の前
で過ごしている。この大家族の長は、以前は、野外市場で魚を売って生計
を立てていた。しかし、今では、魚を獲ってもイスラエルの検問所を通し
てもらえることがめったにないので、漁師として暮らしていける者はほと
んどいなくなっている。レインボー作戦でイスラエル軍に住居を破壊され
てしまって以来、アブー・ソフィと家族にとって、普通の生活と呼べるも
のはいっさいなくなってしまった。この1年間、53歳の老人は毎日、瓦礫の前の小さな黒いソファに座ってい
る。問いかけてみるといい。そうしたら、老人は、この瓦礫の山がかつ
て、どれほど大きな家だったかを話してくれるだろう。次々と建て増しを
続けて大きくなっていった一家の場。1年たった今、結婚した子供たちと
孫たちが、回収できる限りの家財道具を回収した今でも、アブー・ソフィ
はなお、ショックを受けているように見える。考えられないことは理解で
きないというふうに見える。わしは、この家を両親から受け継いだと、老人は語ってくれるだろう。ど
この家も同じだが、息子たちが結婚して子供ができると、家は大きくなっ
ていった。金が貯まると、ここにもうひとつ部屋を、あそこにもう一階
を、というふうにどんどん広がっていった。ここは、アブー・ソフィが生
まれた家、アブー・ソフィが生涯をかけてやってきたことすべてが詰め込
まれている家であり、いずれ子供たちに譲られる遺産となるべきものだっ
た。そして、蓄えも仕事も希望もほんのわずかなものになってしまった今──実
際、最も控えめに算定しても、現在、ラファの住人の80%以上が貧困ライ
ン以下の生活を送っている──、アブー・ソフィは日々、瓦礫の前に座って
いる。3歳くらいの幼い孫娘と、その友達が4人か5人、アブー・ソフィの
膝の周りに群がって、老人の言葉に熱心に耳を傾けている。アブー・ソ
フィはこう話している。「わしらは絶対にここに戻ってくる。いつか、も
う一度、家を立てるんだ。占領はいつか終わる。こんな不当なことには、
絶対に終わりが来るに決まっている」最後の言葉で、いつもは静かなアブー・ソフィの声が高くなる。でも、こ
の希望に包まれた瞬間はすぐに消え、答えのない無数の問いへと続いてい
く。「きっと、きっと、きっと」と、アブー・ソフィはささやくように繰
り返す。「誰かいるだろう。わしの代わりにイスラエルの首相にこう言っ
てくれる人間が。『シャロン、なぜ、わしの家を壊した? わしらの生活
をめちゃくちゃにして、どうしてあんたの国がもっと安全に、幸福にな
るって言うんだ?』」。涙がしわだらけの頬を伝い、白くなった顎鬚に吸
い込まれていく。「なぜだ、シャロン、なぜなんだ?」ラファのすべての人と同様に、僕も、僕自身の「答えのない問い」を抱え
ている。むろん、将来にかかわる問いもある。交渉によって、はたして、公正な平和はもたらされるのか? あらゆる挑
発の行為を乗り越えて、停戦は維持されるだろうか?でも、ラファでは過去から逃れられる者はいない。だから、僕はしばしば
こんなふうにも問いかける。レインボー作戦の責任者、アブー・ソフィの絶望の本当の責任者は誰なの
だ? イスラエル軍のブルドーザーの操縦者か、アパッチ攻撃ヘリのパイ
ロットか、狙撃者か、命令を下した軍の高官たちか、政策を決定したイス
ラエルの政治家たちか、何も発言しないことによってイスラエルの暴虐を
看過した国際社会のリーダーたちか? この責任は、税金納入者として
シャロンとその政府を支援しているひとりひとりにまで及ぶのではない
か? この占領の現実を無視し、あるいは、裏ページに追いやって埋没さ
せている、西欧社会の主要メディアにまで及ぶのではないか?そして、最近特に思うことが多くなったのは──何の罪もない人たちの体と
心が、瓦礫と化した家と同じように押しつぶされて土埃になっていってい
るというのに、あれだけたくさんの人たちが無関心でいられるのはなぜな
んだろう? 満ち足りてのんびりと日々を送っていられるのはなぜなんだ
ろう? 立派な生活を送っているそんな人たち──手足がなくなったわが子
の体を自分の腕に抱いたことなど一度もなければ、これからも決してあり
えないだろうそんな人たちは、でも、なぜか忙しくて、抗議の手紙一通書
く暇も、抗議の署名をする暇も、抗議のデモに参加する暇もないのだ。こ
の人たちには、はたしてわかっているのだろうか……沈黙が、爆弾や銃弾と
同じくらい確実に大勢の人たちを殺しているのだということが。・・・
被占領地ガザからのムハンマド・オマルのレポート。
レインボー作戦の間に、ムハンマドは弟と5人の親族をイスラエル軍に
よって殺された。この記事によって、ムハンマド・オマルは、New America Media
(Washington DC)の主宰する2006年度ベスト・エスニック・メディア賞
を受賞。・・・
翻訳:山田和子
初出:Washington Report on Middle East Affairs, August 2005,
pages 22-23
原文:http://www.wrmea.com/archives/August_2005/0508022.html
【丸子実業高校生イジメ自殺事件】検証ブログより
http://app.blog.livedoor.jp/yutatakayama/tb.cgi/51317637
結審前の最後のお願い!【丸子実業高校生いじめ自殺訴訟】
裕太君の裁判はようやく3月6日に結審する事になりました。
日本のイジメの裁判で行政を相手に訴訟をする場合は大抵、一審で相手が敗訴しても最高裁に控訴されます。
教師や教育委員会は個人では無いので 、裁判に費やす時間も業務時間で給与が支払われます。しかしイジメ被害者の遺族は、裁判に長い時間や費用を費やします
被害者はいつまでも被害を受け続け救われません・・・これが裁判の現状です
それで皆さんにお願いがあります
この裁判の判決が今回で終わる事を願い・・・また裁判官も人なので皆さんからの意見にも心を傾けると少しの希望を託してここにお願いします。
裕太君のイジメ裁判にたいする意見や、学校や教師、教育委員のイジメ対する対応に関して書いて裁判所に送って頂きたいのです。ご自身のイジメの経験で意見して下さっても構いません。
内容は難しくなくて一言簡単に書いて頂いても良いと思います
書いたものは高見澤弁護士当てにFAXまたは郵送で送って頂けたら弁護士が裁判所に提出してくれます。
個人情報が公開されることはありませんのでお名前住所もお書き下さい。
※私たち高山さんの支援者としてどうか一人でも多くの方に署名と意見のお願いをします。期限は1月中にお願いします。遅くても2月初旬にお願いします。
支援者一同より。
≪高見澤法律事務所≫
高見澤昭治 弁護士
〒181-0013
東京都三鷹市下連雀3-6-51-301
Fax 0422-42-5803引き続き結審まで、裁判での署名のお願いをしています
http://app.blog.livedoor.jp/yutatakayama/tb.cgi/50995984
いじめをやった側が被害者の家族を提訴するなど、二重のいじめだと思います。
また、加害者の主張が再審という形で続いてしまっては、いじめを続けさせるようなものだと感じています。
このような裁判所を利用するようないじめはあってはならないものです。
いじめた側が裁判で勝つことも、最高裁に控訴することもあってはならないと思います。