斉唱するものとする

1月17日、神奈川県個人情報保護審議会は、神奈川県教育委員会(以下、県教委)が国歌斉唱時に起立しなかった教職員の氏名を収集していた問題について、氏名収集を「不適当」とする答申を出すことを決定しました。

県教委は「これまで通り学習指導要領などにのっとって(起立を)粘り強く指導していく」と、収集を続ける方針だと報道されていますが、
学習指導要領において国歌は、卒業式・入学式において「斉唱するものとする」とあるのみで、起立の強制等、国歌斉唱時の態度強制には何ら法的根拠はありません。
従って、国歌斉唱時に起立しなかった教職員の氏名収集という、法令(神奈川県個人情報保護条例ならびに憲法19条)に抵触する措置を、教育委員会が行うことを許す法的根拠も、何らありません。

そもそも国歌・国旗が象徴する意味については国民の間で広く支持されるコンセンサスは無く、これらへの態度は基本的に、憲法が保障する思想・良心の範疇であり、県教委がこの答申を無視して氏名収集を継続することは、法治国家の理念を軽んじた行為であるばかりか、民主主義の根幹である思想・良心の自由も無視した行為です。

明日の社会を担う子供達の人格形成に責任を持つ組織が、自ら法治国家の理念も民主主義の理念も軽視するとは、いったいどういうつもりなのでしょう?

教育委員会は、県個人情報保護条例の規定に従い、不起立教職員の氏名収集を直ちにやめるべきです。