雑記

国会の争点になっている道路特定財源を、かりに自然エネルギーに使ったとしたら何ができるのか、簡単に試算してみます。

話を単純化するために、今後10年間で59兆円といわれるお金をすべて風力発電に投入したとします。いま国内で建設されている標準的な風車は出力1,500kWで、建設費は1基あたり3億円程度。つまり、59兆円あれば20万基近く、3億kWの発電容量が増設できるわけです。これは平均的な原子炉(出力100万kW)の300基分にも相当します! ただし設備利用率を3分の1と考えて、風力で原発100基分としましょう。日本では現在、55基の原発が30%あまりの電力供給を担っているとされますから、少なく見積もっても風力だけで国内電力需要の半分以上をまかなえるのです。

実際には59兆円を風力・太陽光・地熱・小水力・バイオマスをはじめ幅広い自然エネルギー源に効果的に配分することになるでしょうし、グリーンピースの「エネルギー[r]eボリューション」が指し示すようにエネルギー利用効率の飛躍的向上にも使われ、当然、普及や規模拡大につれて大幅なコストダウンも起こるはず。いっぽうでは、たとえば大型風車を建てられる適地は限られていて、一定の歯止
めもかかります。

しかしごくアバウトに推算して、59兆円の道路特定財源自然エネルギーと省エネに振り向ければ、日本の電力需要の大半か、場合によってはすべてを満たせそうです。発電に原発も石炭も、ひょっとしたら石油も天然ガスもいらない。文字どおりエネルギー革命ではありませんか! 環境税・炭素税のシステムと組み合
わせたり、初期投資の呼び水として使ったりすれば、効果はさらに何倍にも増幅させることができます。

以上は一つの例にすぎませんが、税金や価格のしくみをどれだけ創造的に使うかによって、その社会の未来にはっきり差がついていくことがわかります。日本の未来を明るくするか、暗く閉塞したままにするかは、私たちの選択しだいです。


南極海捕鯨について日本国内の報道が少しずつ変わってきています。グリーンピースが南極の環境保全と生態系保護を訴えて南極海へ航海しはじめてから、いまの捕鯨シーズンで9回目。クジラ保護区で“調査”という名目で行われる捕鯨の様子を公開し、その調査の正当性と必要性を問うメッセージを発信してきまし
た。今シーズンは、反捕鯨国からの圧力がより強くなり、日本国内では首相答弁が出るほど捕鯨を続ける日本の立場が問われています。

そして調査捕鯨の問題は、日本政府vs反捕鯨国という国際舞台でのやりとりが盛んに取り上げられる一方、「ほんとうに日本人にとって調査捕鯨は必要なのか?」という意見がテレビや新聞などで聞かれるようになってきました。

3月上旬、地方紙の社説で捕鯨問題が様々に語られました。「消費者までを巻き込んだコンセンサスを得る議論までになってこなかった面が気にかかる」(中国新聞3月11日)、「本当に鯨を何頭も殺さなくてはいけない調査なのか」(岐阜新聞3月11日)、「捕鯨に反対する国が相変わらず多い状況を踏まえ、今回の事態を冷静にとらえる姿勢も必要ではないか」(秋田魁新報3月12日)など、最近まで反捕鯨活動を敵視する官製情報に偏り、日本のナショナリズムをあおる報道が主流でしたが、調査捕鯨の必要性を国内に向けて問う冷静
な視点が示されるようになってきました。

グリーンピースは、捕鯨問題を解決する重要なカギは日本国内にあると思っています。調査捕鯨は、将来の商業捕鯨の再開を目的に国民の税金で行われています。「郵政も民営化された時代だ。(調査捕鯨は)国民が本当に欲している政策なのだろうか。原点に立ち返って考えたい」(朝日新聞2月2日)との主張どおり、その必要性が日本国内で十分に話し合われるよう、グリーンピースはこれからも調査捕鯨の問題点を明らかにし、国内の世論を喚起するアピール活動を続けていきます。

南極海でのシーシェパードの活動について、グリーンピースは「暴力行為は解決にならない」と題した声明を発表しました。
http://www.greenpeace.or.jp/press/reports/rd20080303_html

3月6日、国内の鯨肉販売動向の調査結果を発表。鯨肉の需要に将来性はなく、水産庁の推しすすめる商業捕鯨再開の建前が崩れている現状を明らかにしました。
(鯨肉販売動向調査)
http://www.greenpeace.or.jp/press/releases/pr20080306